「向き合う」
人生において、なかなか難しいことの一つに“向き合う”という行為があると思います。
でも、言葉としては結構気軽に多用されています。“自分と向き合う時間をもとう!”とか、“もっと子どもと向き合いましょう”とか、“お客様に真摯に向き合う姿勢を大事にしています!等々...。というわけで、今回はこの”向き合う“についてちょっと考えてみたいと思います。
まず、よく言われる“自分に向き合う”を考えます。皆さんは毎日の生活のなかで、自分に向き合う時間ってどのくらいありますか?そもそも何をもって自分に向き合うと言うのでしょうか?日々の細々としたことでいえば、例えば仕事に行く前に鏡を見ながら身支度を整えることも、ある意味自分に向き合うことかもしれないし、一日の買い物のレシートを、夜に確認することも自分に向き合うことと言えるかもしれません。受験や就職、転職、結婚など、人生の岐路に直面し、自分が本当にしたいこととは何かなどを考えることも、自分と向き合うことと言えるでしょうね。つまり、自分が主体的に自分という課題について、見つめる、考えるということですかねえ。要するに、自分を無視しないってことじゃないでしょうか。でもこれ意外に難しくないですか?日々の生活をまわしていくために、自分を無視してることの方が結構多かったりしません?
自分に向き合うといろいろしんどいし、無視して気づかないふりしている方が楽だし、傷つかないってこともままありますよね。でも実は、無視しても自分そのものがなくなるわけではないので、あんまり無視し続けていると、やっぱりそれはそれでしんどくなってきます。無視負債が溜まってきてしまい、一定量を超えると、ドーン!と自分(あるいは身近な人たち)に跳ね返ってきたりして、愕然とする...といった事態を招きかねません。
ところで冒頭で、自分と向き合う以外に、子どもと向き合う、お客様に向き合うといった例をあげましたが、結局これらもすべて、子どもと向き合う自分に向き合う、お客様に向き合う自分に向き合うこと、と考えられるのではないかと私は思っています(その他、親、恋人、友人、あるいは人に限らず、仕事や社会、世界などなど...)。本当は自分と向き合うことなしに、誰とも何とも真剣には向き合えないのではないかと思うわけです。
そして向き合う方法は実にいろいろあって、その中の一つにカウンセリングもあるんじゃないかと思っています。カウンセラーも日々、自身と向き合う方に向き合うことを通して、自分に向き合い続けています。そしてそれはどの生業でも究極的には同じことなのではないかと思うのです。
それでは今日はこのへんで。以上、水曜日時々土曜日担当の宮田でした。